日米看護師カルチャーショック【日本とNYの一般病棟の違い徹底比較!】

今回のテーマは、『日本とニューヨークの一般病棟の看護・働き方の違い』についてです!☺

日本の病院のみでの経験しかない看護師さんや、アメリカの大学を卒業されていない日本人看護師さん達にとっては、実際に自分がアメリカの臨床で働いてみないと、何が大きな違いなのかピンとこないものだと思います。今回は私が実際に経験した、ニューヨーク看護師のカルチャーショックを含めて、日米看護師の比較を書いていきたいと思います!将来、国際的に活躍されたい看護師さん・看護学生さん、ニューヨーク・アメリカの病院就労に興味のある人たちの参考になれば嬉しいです!🍀

日本とニューヨークの病棟看護の比較表

日米の自分の看護師経験を通して、一般病棟の看護師の働き方の比較表を作ってみました!

       日本の一般病棟ニューヨークの一般病棟   

1.
患者  
時々、日本語の話せない外国人の入院患者さんが来る。受け持ち看護師が、英語と日本語の表・単語パネルなどを作成し、痛みや症状などのコミュニケーションを取る工夫をする。

日本人患者さんは比較的、我慢強く痛みや不満を訴えない患者さんが多い。

アメリカ人のみでなく、移民の方など多国籍の患者さんがごちゃ混ぜ。英語の話せない患者さん・医療英語が難しい患者さんなどには、Interpreter serviceを使用し、患者さんの言語で翻訳してもらいながら、通訳者を通しコミュニケーションを取る。

患者さんの性格は基本激しめ。不安・鬱・アル中・薬物依存/乱用の患者さんが多いためか、取り扱いは日本人患者さんよりも難しい。嫌だと無理やりでも退院する患者さんが多い。日本の患者さんよりも、コンプライアンスの悪い患者さんが多い。

2.
雇用形態

日本の病院での一般的な働き方は、フルタイム看護師。今はコロナの影響を受けて日本の雇用形態も柔軟になっているかもしれませんが、私が日本の大学病院にいた時は、派遣やパートタイムの方は見たことがなかった。

・Full time ・Part time ・Per Diem ・Travel Nurseなど自分の生活スタイルに合わせて選べる。

私はフルタイム看護師で、月13日勤務/17日は休み。有給を駆使し、月10-12日の勤務で働いている。休みも多くあり、ライフワークバランスはかなり良い。ニューヨークでは看護師として働きながら、副業や勉強など自分のしたい事に力を入れやすい。

3.
勤務形態
フルタイム週40時間(2交代・3交代)日勤・準夜勤・夜勤ごちゃ混ぜの勤務。
12.5時間勤務x3日/週
フルタイムの看護師は、月1でどこか4日/週働かないといけない(アメリカ労働法)
日勤専門か、夜勤専門を選ぶことが出来る。

4.
給料

当時私が大学病院で働いていた時は、休みは月8日間。税金がかなり引かれ、お給料は手取り月30万円。

月休みは17~18日。お給料は日本円で月120~130万円。税金やリタイアメントのお金がかなり引かれ、手取りは月80万円。Holiday(クリスマスやThanksgiving, 年越しなど、その他祝日)は時給が、1.25倍UPになるので稼げる時期。

5.
有給

日本の大学病院3年間勤務して、有給というものを1度もとったことはなかった(笑)あくまで家族持ちや子供がいる看護師さん達が、有給において優遇される。大学病院時代のVacationは、10日間。


体調不良で気軽に休める。病休で1日のお給料$600とか入っている。お給料の心配をせずに、ゆっくり休養出来るのは有難い。Personal day, Holiday, vacation, sick dayなどたくさんの有給を駆使できる。基本は年間4週間のVacationだが、私は去年の3週間を使用できなかったので、今年は7週間のvacationが取れる。(年数によってVacationは増えていく)

6.
プライマリーナーシング

基本3人~6人ほどの受け持ち患者さんがいる。看護計画作成・評価・修正・追加、退院サマリーや退院支援など、入院から退院まで1人の看護師が1人の患者さんに対して、責任を持ち行う。

受け持ち患者さん0。
術後は1~3日などで、リハや老人ホームに転院。検査結果に問題がないと速攻自宅退院となる。受け持ち患者さんがいると追跡できないほどの目まぐるしい回転率。思い出深い患者がいない。入院とっても覚えてないことがほとんど。

7.
電話対応

クラークさんや医師が対応。基本、看護師が家族と電話で対話することは少ない。退院支援の情報収集時などは、私は家族に電話をかけたりもしていた。

病院によってもかなり電話対応の方針が違う。
以前勤めていた病院は、電話対応0だった。
今の病院は、家族からかかってきた電話は、自分のwork phoneにクラークさんが電話を繋げてくれる。夜中であっても、家族から質問やリクエストなどの電話がばんばんかかってくる。

8.
入院対応

入院時のPaper work多すぎる。
1人~2人の入院/緊急入院をとると、絶対にサービス残業になる(笑)ありえないほどの量の紙の書類があり、パソコンへの患者情報の記載も多い。

リーダーナースへの新規入院者のホウレンソウは必須。

入院時の書類は電子カルテのみで少ない。
20分ほどで全部記録できるほど簡潔なもの。
そのため、毎日3~4人ほどの入院患者を、1人の看護師が残業なしでとることも可能。

入院をとっても、よっぽどのことがない限り、リーダーに新規患者の病状などの申し送りはしない。

9.
担当患者の人数

重症度の高い患者さんは、一人の看護師が、2人~4人(CCUやICUからの受け入れ患者さん等)担当する。術前患者や軽症患者さんだと一人の看護師が12人受け持つ。夜勤だと軽症患者さんを、16-24人担当することも。


重症度などはあまり考慮されず、日勤の患者担当は一人の看護師につき5人~7人。夜勤は6人~9人。最近は看護師のストライキを受け、患者:看護師のratioが少なく改善された。
10.
退院支援

看護師もソーシャルワーカーさん達と退院支援に参加。問題のある患者さんの退院カンファレンスや、入院時の情報収集を行う。私は日本で、退院支援係に所属していた。退院後の患者さんの生活を考慮した看護を行うのが大好きで、楽しかった思い出が強い。

看護師から退院支援の介入はほぼない。
SWやケアマネさんが患者さんや家族と話し合い、自宅退院か、ホームケアか、リハビリ/老人ホーム、ホスピスなどへの転院するのかを検討する。家族と相談して決まった内容は、記録が残っているので、看護師はそれをチェックし今後の方針を把握する。
11.
患者入院日数

1週間~1ヶ月。入院日数を減らし、病床の回転率を上げることも看護師の務めである日本。循環器の術後患者さんは、術後なかなか安定せず2カ月以上入院されている人も多かった。心臓リハビリにもとても力を入れており、入院中のリハも素晴らしかった。


1-3日検査入院が多い。術後のフォローアップも数日で終わり、保険の関係で速攻退院させられる。退院後は外来か、かかりつけ医、ホームケア、SNFなどでリハビリなどを行う患者さんが多い。

12.
病棟スタッフ

看護師が介護も全てする。
循環動態が不安定な患者さんが多く、看護助手さんは基本介入できないことが多かった。朝昼晩の配膳も看護師が手伝っていた。基本看護師は、医療行為+清拭・洗髪・シャワー・おむつ交換・体位交換など全てを行う。


アメリカは基本、分業制。
CNA・PCA・PA・RT・LPN・Phlebotomist・Transporterなど、日本にはいない職種の人たちが病棟で活躍しており、看護師と助け合いながら仕事をする。
13.
退院手続き

退院サマリーなどの書類が多い。退院指導や教育に力を入れている。退院日のはるか前から毎日少しずつ指導・教育していく。


ストレスやコンプライアンスの悪さ、金銭的な不安等から、AMA Dischargeが多い。危険を承知で無理やり退院する患者さんの割合が多い。パソコンで簡単な退院サマリーを作るのみ。退院指導は、薬の説明や飲み方、どこの薬局に取りに行くのか、次の外来アポ、インスリンの自己注射方法などを、退院日が決まれば軽く指導する。退院指導を拒否する患者さんも多くあまり力をかけられない。

14.
身体抑制

ミトンや両手をベッドサイドに縛り付ける抑制は、大切なチューブ類がある患者さんは、家族の承諾を得てされていた。

日本にないようなびっくりする身体抑制もちらほらある。ほとんどは日本と同じような抑制帯。ニューヨークの病棟では、ベストタイプの抑制帯や、Soma Bedと呼ばれる巨大な人間籠がある。

15.
新人教育制度


新人看護師を育てていく意識が強い。新人は3年目までのフォローアップがしっかりとあり、先輩からの基礎スキル・知識の教育や、勉強会などが仕事終わりにたくさんあった。
プリセプターは特定の看護師が1人いて、熱心に指導してくれる。

ニューヨークは、マンハッタンなどの中心地となると、スタンダードがかなり高く、基本新人看護師は取りたくない病院が多い。日本のように0からきちんとした新人教育はあまりない。『出来るから雇われてるんでしょ?』感がすごい。

病院経験のない看護師さんやNPさんは、どこか田舎で病院経験を積んでCityに帰ってくる人なども多い。基本マグネット病院は、BSNを持っていない看護師は面接すら受けさせない。

Nursing Residency Programと言って、新人看護師を有給で教育してくれるオンライン研修もある。

プリセプターは毎回変わる。病休や有給をとる先輩も多いため、プリとは勤務がなかなか合わない。いろんな看護師の良いところや正しいところを自分で選んで吸収でき、1人のプリだけでは補えない、看護観の偏りを上手い事埋める事が出来た。

16.
キャリア支援
認定看護師や大学院などは、病院側が費用を少しサポートしてくれる。又はほぼサポートなし。休職し、大学院卒業後にまた同じ病院に復帰できる制度がある。大学院で学んだ事を病院側に還元しないといけない動きが強い。
指定の大学・大学院であれば、病院側が学費を全額負担してくれる。自分の好きな大学に進学する場合は、Tuition Reimbursement Programというものがあり、私の病院では、年間$18400(日本円で250万円程)を後から返金してくれる。

病院で働いて1年が経つと、大学院費用や、Certificateなどの小さなテスト・資格のお金も全て負担してくれるため、キャリア支援は手厚い。日本のように大学院に向け休職し、卒業後に再度働くことが出来るなどの、待ってもらえる制度はあまりない。

あくまでパートタイムかフルタイムで働きながら学校に行かないと費用のサポートはない。

17. 
看護師の個人電話
小さいボロボロのピッチを、首からぶら下げて行動。
Patient Care Deviceのアイフォンが個々に支給される。その電話に患者さんの家族やドクターなどからの電話がかかってくる。
18.
薬のチェック
看護師2人でお薬箱をチェックする。点滴も看護師2人でWチェック。
Patient Carer DeviceのIphoneで、患者さんのMRN: Medical Record Numberと、薬のバーコードを1つ1つスキャンし、機械と看護師で薬のWチェックを行う。

Pyxis:ピクシスという薬を管理している機械から、規定の薬を取り出して配薬する。看護師2人での薬のWチェックはないが、麻薬などの破棄や血液製剤・抗凝固IVなどは2人で確認する。(病院でポリシーは異なる。)

19.
薬の内服方法

自己管理、自己管理指導・お薬ボックス確認・内服指導、毎回配薬、お薬カレンダーの使用など、たくさんの内服管理方法があり、退院後の患者さんの内服自立を教育・促す。


内服薬は、毎回配薬のみ。
アル中や薬物乱用などのコンプライアンスの悪い患者さんが多いので、どんだけ自立していても自己管理はさせない。毎回配薬の患者さんのみなので配薬にはかなり時間がかかる。

20.
薬のすりつぶし方

私の勤めていた大学病院のシステムが古かったのか、乳鉢を使用し薬をすり潰していた😂

pill crasherという挟んで、薬をガンガン砕く小さな機械がある。薬を半分に切りたい場合は、Pill cutterという使い捨ての安全な刃物もある。
21.
粉薬の内服方法

粉薬は、食事やとろみ水やスープに混ぜて食介する。粉のまま内服できる患者さんも多い。

粉のまま内服する患者さんはいない。粉薬はアップルソースや、チョコレートかバニラプディング、またはヨーグルトなどに混ぜて内服。薬を内服する際に、オレンジやアップルジュースじゃないと薬を飲みたくない患者さんなどもいる。

22.
ユニフォーム

病院内での無料のクリーニングがあった。ユニフォームの衛生面にはとても配慮されていた。基本的に、白い看護服が多く、病院指定の配布されたものを着る。大きなロッカールームがあり、看護師はそこで白衣に着替えて出勤し、私服に着替えて退勤する。そのため、退勤後はきれいな私服で飲みに行ったりしていた。

病院内での無料のクリーニングはない。自分でコインロッカーに洗濯しにいかねばならず、不衛生。病棟内に小さいなロッカールームはあるが、誰も着替えはしない。

看護師は、病院指定の無料スクラブとジャケットをもらえる。スクラブを着て病院に出勤し、そのままそれを着て退勤する。そのため、スクラブを着たまま、お昼外にご飯を買いに行ったり、晩ご飯に行ったりと不衛生。

一部の病院では、スクラブの色のみが統一されており、色さえ一致していれば、なんでも好きなブランドのスクラブを自分で購入して着れる病院もある。トラベルナースなどは、病院指定のスクラブがなく好きなスクラブを自由に着ても良い。

23.
前残業
後残業

私は大学病院時代3年間、朝7:30に病棟出勤していた。バスの関係でどうしても朝7時に病院につくバスしかなく、出勤の1時間半前に病棟に上がる生活を3年繰り返した。そのため、夜勤の急変にいつも遭遇してしまい、自分の日勤の情報収集がほぼできず、急変の手伝いをするという前残業が多かった。

後残業もほぼ毎日していた。退院支援の係や、自分の受け持ち患者さんの退院サマリの作成や、看護計画の修正・追加などをし、22時頃に仕事を終える。22時半に帰宅し、23時にご飯を食べ、24時にお風呂につかり、1時に就寝。6時に起床し、6時半にバスに乗り出勤する毎日だった。

看護師さんはみんな5分前に病棟にいく(笑)
早く行き過ぎても、自分の受け持ち患者さんが発表されていないことが多く、情報収集できないからだ。
私は早めに10-15分前にいくよういしており、日勤の先輩が早く申し送りをして、早く帰宅することができるので、お局の先輩にはなかなか好かれている。アメリカでは少し早く出勤するとお局に好かれるので、日本人看護師は結構ナチュラルに好かれる😂

急変やイレギュラーなトラブルなどがない限り、残業はないし、自発的に無給の残業をする人はいない。残業すると、基本給よりも、多めのお給料が発生する。

怠け者で遅刻してくる看護師さんを待っていると、退勤が遅くなる場合はよくある。お局たちは強いので、遅刻した看護師を待たずに申し送りをリーダーに託し、速攻帰宅する。

5分前に申し送りするナースが現れないとみんなイライラし始める。

24.
リーダーへの報告
基本的には、受け持ちみんなの情報・病状をリーダーに軽く報告。主には、急変リスクの高い患者や、入院・緊急入院患者、術後循環動態が不安定な患者、ICUやCCUから受け入れた重症度の高い患者、急変などのイベント・トラブルのあった患者などの報告を中心に行う。
リーダー・チャージナースへの報告は特にない。入院患者の報告は特にしないし、基本トラブルがない限りは、看護師が個々で責任をもって患者さんをみる。

うちの病棟では、BIPAP/CPAP、PICC/Midline、人工呼吸器、Foley、Premafit、Permacath, ケモ患者、透析・腹膜透析患者、Tracheostomy、Chest tube等のドレーン類、輸血、血液製剤使用、抗凝固IV、家族の夜間ステイ、家族/患者トラブル、身体抑制、safety/suicide watchの患者さんの情報などは、リーダーに報告する事となっている。

一人一人の患者の病状などは、よっぽどのことがない限りは、リーダーに報告しない。

25.
ボーナス
年間2回の大型ボーナスがあった(夏と冬)
日本のような決まった時期のボーナスはない。1199というUnionから、ランダムにボーナスが$1500~$3000配られる。ボーナスも何故か税金が引かれ、日本のボーナスと比べると少額である。そしてボーナスは数カ月経たないと振り込まれない。忘れたころ急に振り込まれている。

26.
心電図
管理
RN:看護師が、責任を持って受け持ち患者さんの心電図をしっかり観察・管理する。
心電図を監視する役職がある。

RN、まはたLPNが病棟全ての心電図を監視・管理する。心電図の充電が切れる前には、今すぐ電池を交換してください、などのメールや電話を送ってくる。患者さんの心電図の電極が外れているとか、致死的な不整脈が今出ました、患者さんを確認してください、などタイムリーに知らせてくれる役職の人がいる。

受け持ちのRNが自分でチェックすればいいだけの話なのに、こんな役職の人がいるというのは、個人的にはとても謎である。

27.
エンゼルケア

死後のケア、死化粧など患者・家族の尊厳を保つ日本特有の素晴らしいケアがある。

アメリカでは、死=医療の終了と捉えられ、日本のような手厚いエンゼルケアは存在しない。宗教的な問題もあり、死後の患者さんの体に手を加えられる事を嫌がる家族などもいる。

28.
IVスキル
日本の看護師さんは、就職前にIVの練習をしたり、看護師同士でも腕を使って練習をしたりするので、基本みんなIVは上手な印象。
IVを取るのが難しい患者さん: Hard stickの患者さんがいたら、看護師はドクターやPAさんに依頼して、IVチームをオーダーしてもらうことが出来る。IV チームの人たちが、PICC lineやMidlineを確保してくれる。

また、PAがウルトラサウンドを使用し、抹消IVラインを取ってもらえる。そのため、IVのスキルは看護師によってまちまち。日本ほどIV挿入が上手な人ばかりではない印象。そして、良い血管が見つけられない難しい患者さんや、時間がないときは、みんな構わず正中にIVをとる(笑)

29.
看護師の仕事への姿勢


真面目、勤勉、遅刻しない。
滅多に病欠しない。病気でも、死に物狂いで仕事に行く。責任感が強い。無給残業当たり前。仕事量が多すぎる。ストレス傾向。休みがほぼない。
休みの日にもカンファレンスや勉強会に無給で出勤。

自発的に係の仕事や、受け持ちの看護計画の修正、退院サマリーの修正、退院支援の情報収集をする。


渋滞や公共交通機関の状況によっては、普通に遅刻も許される。座って携帯電話ばかり触っている。勤務中に家族とビデオ電話している看護師もいる。天気が悪いと仕事さぼる。天気がすごく良過ぎても、仕事サボって遊びに行く😂overwhelmedだったり、体調が少し悪かったり、自分の仕事や受け持ちが嫌なら普通に帰宅する。残された看護師のことは考えない。担当患者さんが嫌だと、アサイメントを変えて欲しいと抗議・大喧嘩することもある。結構、無責任な人も多い。
仕事をかなり残して帰宅する人もいる。
仕事とプライベートはきっちり分けている。
30.
名前の呼ばれ方
看護師さん、看護婦さん等と呼ばれる。基本は、名字+さん付けで呼ばれることが多く、きちんとした距離感や敬意が伺われる。
基本は下の名前でフレンドリーに呼ばれる。
看護師の名前を覚えれない患者さんは、Honey, Sweety, Sweetheart, Dear, Cutie, pretty, My loveなど、適当な可愛い呼び名で呼ぶ(笑)、
Nurse!と呼ばれることも時々ある。(何かを伝えたいけど特定の看護師の名前がわからない時や、めちゃくちゃイラついている時など)

感情的な患者さんも多く、クソビッチと裏で呼ばれていたこともあった🤣

31.
患者さんの危険防止


混乱・認知症患者さんは、看護師が部屋を頻回訪問、または、つきっきりで監視する。踏むとブザーがなるマットやセンサーや、ナーシングコールと連動したアラームを付けて、鳴ったら猛ダッシュで駆けつける。

人手が足りないときは、車椅子で一緒に移動しながら配薬などもしていたし、ナーシングステーションで記録を書きながら、車椅子に座らせて混乱患者さんを監視したりしていた。懐かしい😂


転倒・脱走の可能性が高い混乱・認知症患者さんや、自殺企図のある患者さん等には、1:1 safety watchや1:1 suicide watchとして、看護助手さんをつけてもらえる。

CNAさんが患者さんのベッドサイドに座り、監視・アシストすることで、危険を防止する。CNAさんが寝ていて、患者さんが転倒してしまったことも何度かある。
32.
検査
オペ出し
迎え

検査出し、オペ出し患者は、基本看護師が車椅子で搬送する。時間がかかり、かなり歩くため体力勝負。オペ迎えは、看護師が術後ベッドを作成し、ICU又はCCUのドクターと一緒にベッドを押して病棟へ帰ってくる。

看護師は、検査出し・検査迎え、オペ出し・オペ迎えは一切行わない。トランスポーターという、患者さんを搬送してくれる職種の人がいるので、その人たちが行う。看護師の業務に集中できるので、看護師が搬送しないのは有難い。
33.
NG
チューブ                          
看護師が基本はNGチューブを挿入する。日本の看護師時代は私はNGチューブの挿入が大得意だった。数分でパッと挿入し、レントゲンで位置が確認出来たら、使用可能。患者さんの安全のため、NGチューブの固定も丁寧に行っていた。
私の病院では、NG tubeは看護師は入れない。(病院によって看護師が挿入する場所もある。)

PAまたはドクターが2〜3人がかりで何十分もかけて必死にNGチューブをいれる。ドクターの固定が甘すぎて、混乱患者さんにいつも秒でNGチューブ抜かれている😂固定方法を学ばないのか、看護師が挿入して固定した方が確実に安全であると思うほど、適当な固定で驚く。

34.
尿道留置カテーテル
日本人は小柄で比較的やせ型の患者さんが多く、RN一人でも簡単にFoley cathを入れれる。
肥満傾向な患者さんが多く、一人でFoleyを入れれないことが多い。2人がかりで股を開いてもらって、ようやく尿道留置カテをいれれるような、体の大きな患者さんが多くいる。一応、私の病院のポリシーでは、Foley insertionはトラブルを避けるため、RN2人で入れることが望ましいとされている。

35.
副業

日本では看護師の副業は基本許されていない場所が多く、厳しい。看護にまつわる副業であり、師長さんの承諾が得られた場合は副業も可能。

私は、留学の貯金と看護師経験・勉強も兼ねて、BLSインストラクターのアルバイトを週末していました。

本業に支障をきたさなければ、副業はいくつして大丈夫。パートタイムなどで看護師として病院で働きながら、施設やクリニック・他の急性期病院で休みの日に働いている看護師さんも多い。

私も本業の病院看護師+4つ程度の副業をし、ニューヨークで生計を立てている。大都会ニューヨークでは、物価がとても高く、1つの仕事のみで生きていける事は、かなり恵まれている。看護師の仕事は、週3回勤務のみの、1つの仕事だけで生きていけるほど、お給料やベネフィットは良い。

36.
ネブライザー管理
看護師が呼吸器管理も、ネブライザーも酸素の加湿も全て一人で行う。
ネブライザーや酸素の加湿など、呼吸に関わる事は全てRespiratory Therapistが行う。看護師は基本触ってはいけない😱呼吸器はRTの人に相談しながら看護師も管理できるのでとても心強く、勉強のため色々教えてくれる優しいRTさんが多い。

37.
環境整備

環境整備も看護の一部。看護師が患者さんから危険を取り除き、安全を保つために必須なもの。

患者さんのベッドサイド周辺の清掃をしてくれる、ハウスキーパーさんがいる。なので、多くの看護師は基本、環境整備や掃除はしない。だから、ベッドサイドはゴミだらけでぐしゃぐしゃ。

38.
看護グッズ

看護師グッズは可愛いものを揃える。ユニフォームのポケットの中は、常にグッズでぎゅうぎゅう。

個々の看護グッズはあまり持たない。感染予防対策の視点から、はさみ、駆血帯など全て使い捨てを使用する。ポケットにはあまり物はいれない。fanny packをみんな買って持ち歩く。

39.
採血
夜勤の朝などは10-15人の採血を看護師が取りながら、バイタル・急変・配膳など忙しかった。入院患者の採血も看護師が受け持つ。
基本、看護師は採血を取らない。私の病院では、PTTのみ看護師が取る決まりになっている。それ以外の採血は、基本はPhlebotomistさんがしてくれるので、とても助かる。

40.
ドクターとの関係

看護師はドクターよりも下、みたいな上下関係が強い。臨床経験年数の長いドクターが多く、基本は看護師はあまりドクターに口出ししたり、意見することはない。お局看護師などであると、信頼等もあり発言しやすい。看護師とドクターは、平等な関係とは言えない。

仕事の全くできない研修医が多い。

みんな友達並みにフレンドリー。
気さくで話しかけやすく、相談しやすい。若くてしっかりした仕事のできる研修医・ドクターやPAさんが多い。基本、看護師とドクターは平等な関係で、看護師の方が患者さんの傍に常にいるので、かなり強く主張し、看護師がドクターに抗議することもしばしば。ドクターも看護師の考えやアセスメントを尊重する。

私の病院のドクター達は、週7勤務、週7休みの繰り返しらしい、過酷すぎる!😲

41.
クリニカルパス

日本には、術式や病名や処置ごとに、入院から退院まで経過を患者さんに示したクリニカルパスがあった。

ニューヨークの病院にはクリニカルパスは存在しない。良くも悪くも患者さんの入院日数は1日~3日などの数日であり、みんながみんな同じ経過をたどって退院する訳ではないため、クリニカルパスなどでの統一は不可能。

42.
採用・雇用

日本は病院ごとに仕事に応募する。日本では、病院に採用されてから、どこの科で働きたいか第一希望~第五希望ほど提出し、その中から出来るだけ希望に沿った科で働けるように調整されることがほとんど。

基本は4月1日から新人は一斉に仕事開始となる。年に何回も看護師の募集はないことがほとんど。


アメリカでは、年中看護師を募集している。4月から一斉に新しい看護師さんが入職するなどの決まりはなく、2カ月に1回おきに採用・オリエンテーションがあり、新人看護師さんが入ってくる。

アメリカでは病院採用ではなく、あくまで特定の科に自分で応募し、科ごとの看護師採用となる。例えば、病院の小児科で働きたい場合は、小児病棟や小児系のユニットへ自身で応募する。なので、病院採用後にどこの科に採用されるか分からない、ということはまずない。

43.
独り立ち

日本でも2-3カ月で夜勤デビューし独り立ちするイメージ。しかし、1年目・2年目・3年目と師長・副市長の面談がしっかりとあり、プリセプターも常にプリセプティの成長を見届けてフォローしてくれる。


病棟看護師のオリエンテーションは短い。
ICUやERなどのクリティカル部門となると6か月間のローテーションやオリエンテーションがある。病棟看護師は、基本8週間~10週間プリセプターがついて教えてもらいながら主体的に働く。その後は独り立ちとなる。独り立ちしたあとは、プリセプターのフォローはない。


44.
就活・面接


基本対面で1人または数人の人と面接をする。時には看護師のグループ面接もあり。グループ面接では、ディスカッションしたりリーダーシップをとるタイプの面接もある。


一次面接は、HR(Human Resorce)の人と、電話越しで自身のバックグラウンドや看護師の経験などを話す。二次面接では、病棟マネージャーやEducator、その他Charge nurseなどとの対談面接がある。コロナの影響を受けて、ZOOM面接は増えた印象。

また、Self-paced Video interviewという、自分で質問を答えている動画を録音し病院側に送り、その内容次第で次の三次面接へ進める病院などもある。 ジョブフェアという、たくさんの看護師さんが集まり、いろんなブースに分かれて異なるunitの話を聞きながら、面接をうけ、自分の履歴書を直接病院側の人たちに手渡すイベントなどもある。



45.
院内転科

日本の場合は、5年以上同じ科で働いていれば、強制的に他の科に転科させられていた。希望はほぼ通らず、左遷状態。色んな科を回って看護師としての豊富な経験を作ることが大切だとされている日本。

自分で転科の希望をオンラインから提出しない限り、ずっと定年退職するまで同じ病棟・科で勤務することが出来る。強制的に転科させられることはない。

一つの科の専門性を貫き、高める事に重きが置かれているアメリカ。

転科希望を出してその科のマネージャーと面接をしても、契約上、年功序列を考慮して、その病院で長く働いている看護師から院内採用されていく仕組み。なので、新人看護師は2年~5年ほど経験を積めながら待たないと、院内転科出来ないことが多い。

一度どこかの病院に潜入出来ればその中で科を変える事はとても簡単。しかし、人気の科であれば転科には数年時間がかかることが大前提。



46.
ACLSやPALS


受講料金はかなり高い。仕事休みを2日とっていかないと受講できず、休みが研修に消えるの大変。病院から資格のお金は出してもらえない。座学や実施試験、ロールプレイなどが行われ、筆記試験内容も難しい。

研修前のPre-courseとPre-examを受けないと、当日の研修に参加させてもらえない。(個人で受ける場合はそこまで厳しくないが、Union系のトレーニングサイトは厳しめ。)


Education timeと言って、病院から有給でACLSやPALSの研修に参加できる。そして研修費用や本代金も、全て病院側がReimbursementしてくれる。ACLSもPALSも、$376+本$50を無料で受ける事が出来た。そして、Education timeの8時間x2日のお給料が、$1000ほど振り込まれていた。


講習内容は日本とほぼ同じ。しかし、日本よりも教材ビデオのクオリティが高く、涙が出そうになるほどリアルな状況のビデオが流れる。驚いたのが、IOアクセスの練習も実際のドリルを使用して練習させてもらえること。そして、遺族のグリーフケアや、インフォームドコンセントの方法などの教材ビデオがあり、とても感動するとともに、日本にも必要な教材だと感じる。

アメリカのACLSやPALSの筆記試験は、オープンブック試験であり、本を見ながら答えを探すことができる。



47.
インシデントレポート


何でもない小さなことでも、インシデントレポートを書かされる。自己内服管理の患者さんが、床に薬を落としただけでインシデント。結構、命にかかわらないどうでもいい事で、みんな大騒ぎする日本。

みんなインシデントレポートを書きたくないので、お局はインシを発見しても報告しない。そのため、たいていは新人がインシの発見者となり、インシを肩代わりして書く羽目となる。

インシデントレポート多すぎて、残業で帰宅できないこともしばしばある。


インシデントレポートはほぼ書かない。
転倒した場合は100%インシは書くが、NGT抜去や、点滴抜去、PEG抜去や、かすり傷、内服薬を床に落とした、新しいひっかき傷ができたーなどで、日本のようにいちいちインシデントレポートを書く事はない。

個人的には、NGTやPEGの抜去、尿管留置カテの抜去とか結構やばいから、インシデントレポートをしっかり書いて改善した方が良いと思う(笑)


病院勤務よりも、老人ホームやリハビリセンターにいた時の方が、同僚はしっかりインシデントレポート書いていた印象。


インシデントレポートが少ない分、看護師の業務負担は日本よりは軽い。

48. 転科


私が勤めていた大学病院は、4-6年に1度他の科に飛ばされていた。個人で希望して通れば、転科も可能であるが、基本は経験年数が多くなると、本人の意思や希望に関係なく、新しい看護経験や専門性を得るために強制的に転科させられていたイメージ。

友達が働いていた病院は、強制的な転科はなかったといっていた。希望を出さないと、ずっと同じ科で働き続ける病院もあるとのこと。




ニューヨークの病院では、オンラインで自分の新しく働きたい科のポジションにアプライして、それが受理されてから、新しい科のマネージャーと面接をし合格しないと転科はできない。夜勤専門から、日勤専門に切り替えるのも、Internalの職員として、オンラインから応募しいないといけない。

希望を出さない限りは転科できないので、1つの科で定年を迎えるまで働き続け、1つの専門性を極める看護師がアメリカは多い。

田舎の州の緩い病院などであれば、マネージャーと交渉のみでポジションや科、夜勤から日勤などを簡単に変えれるとのこと。

働きだして1年たてば、転科希望を出すことができるのだが、転科待ちは、Waiting listがあって、年功序列でお局看護師から転科していけるシステム。

その病院での経験年数が浅い看護師は、転科待ちに3-6年かかる可能性もあるとのこと。転科を待つよりも、転職する方がアメリカは早い。


49.転職


看護師は需要があるので、場所や科を選ばなければどこでも働ける。1回の面接ですぐ合格して働きだせる。基本は4月などからの仕事開始が多いが、途中から新しい病院に転職してくる経験者も多かった。



アメリカでの看護師経験がないと転職が上手くいかないことが多い。

アメリカで経験があっても、小児の経験だけでは、急に成人のICUやERに転職することは簡単ではない。逆に、成人の急性期の経験が8年以上あっても、私は小児の経験がないので、NICUやPeds unitに転職するのに、とても苦労した。なので、自分の経験のある分野の、似たような科に転職するのが基本は一番簡単。

Med-surg unit の経験があると成人、老年、急性期、慢性期、Home care、小児、新生児どこでもとってもらえるポテンシャルがある。

50.計算

日本にいた時は、酸素ボンベが何分持つかの計算を日常的にしたり、点滴の滴下速度の計算もしっかりしていた。そして、その計算が間違えていて、酸素ボンベが検査中に切れたら、看護師のインシ、点滴の速度が速すぎたら、患者様に心臓負荷がかかるとかなんとかで、インシになったりしていた。

オールドファッション& 厳しい...



アメリカでは、IVの滴下はBolus以外ではあまりなく、全て点滴ポンプを使用するので、機械が計算してくれて、看護師が計算することはほとんどない。なので、アメリカ看護師は、数学が出来なくなっていく(笑)

(日本人看護師なので、さっと見たらボンベが何分持つかくらいは分かるが、)酸素ボンべの残量をアメリカで計算したことは一度もない。アメリカでは、ポーターさんが患者さんの検査出しに行ってくれて、もし検査途中で酸素ボンベが切れてしまっても、新しい予備の酸素ボンベが検査室にもあるので、ポーターさんや他のスタッフが変えてくれて、特に看護師のインシになることはない。


51.病欠

なかなか病欠が取れない。というかほぼ取ったことはなかった。38-39℃の熱があっても薬を飲んで這いつくばって出勤。患者さんよりも体調悪いのに、死ぬ気で働いていた。

病院へ電話し、病状を説明して、病院受診の結果を報告、又は、診断書を提出しないと休めない、という厳しい&面倒くささ。

1日休養したくらいじゃ、体調が良くなるはずもなく、次の日出勤し、体調が悪いまままた働いて、一生体調が良くならない、悪循環(笑)

出勤した時にみんなに病欠の謝罪+お詫びに回るという、意味不明なカルチャー日本。




私の前の病院は、Sick lineというものがあって、その電話番号に電話すると、電話越しに簡単に病欠を伝えられた。自分の名前、名前のスペル、自分の役職・ポジション(RN)、夜勤なのか日勤なのか、休みたい日にちを言い、自分の職員番号を電話からタイプすると、オートマティックに対処してもらえ、その情報がsupervisorに届き、自分の病棟に伝えてもらえる。


Sick leaveは、自分の勤務の4時間前に報告しないと、有給のお金をもらえない。報告せずに休むと、No showやAbsentになり、それが多いと解雇されることもある。


病欠する理由を言う必要もないし、3日以上病欠しない限りは、病院受診の結果や診断書を提出する必要もないため、みんなズル休みし放題(笑)気分が乗らないからとか、生理でだるいとか、天気が良いから海に行ってくるとか、そんな理由でみんな簡単にズル休みをしていた。


今の私の病院は、病欠する場合は、Nursing officeに電話して、名前、部署、日にちを伝えると休めるが、電話するのがめんどくさいから、まだ休んだことはない。私はインフルもコロナもなったことがなく、あまり病気にならないので、大学院の試験前などに計画を立てて病欠をとったりしている。

かなり長くなってしまいましたが、ざっくりと日米看護師の違いやカルチャーショックについてまとめてみました!日本の経験とアメリカの経験を比較しながら働くというのは、とても楽しく時にはショックを受けながらも、日々看護師としての修行を積んでいます🍀この情報が将来アメリカで看護師として働く方の参考になりますように!

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